施工パッケージ型積算方式について解説します。
施工パッケージ型積算方式は、平成24年10月国土交通省発注案件より導入されました。
その後、数年かけて全国の発注者でも導入が進み、現在では、ほとんどの発注者が施工パッケージ型積算方式を導入しています。
平成16年より国土交通省は「ユニットプライス型積算方式」を導入し運用してきましたが、以下の課題が浮き彫りになりました。
その結果、ユニットプライス型積算方式を廃止し、施工パッケージ型積算方式を導入しました。
平成24年度は63施工パッケージからスタートしましたが、年々拡大していき令和3年度では409施工パッケージまで増えました。
施工パッケージ型積算方式は以下の目的を達成するため導入されました。
また、国土交通省の過去の資料によると、
『通常の舗装工事では、一つの工事について150枚程度の単価表を積上げる作業が必要になる』
と発言していますので、施工パッケージ型積算方式の導入により官民共に「積算業務を効率化したい」という強い思いがあります。
施工パッケージ型積算方式の基準は土木系の場合、『国土交通省土木工事標準積算基準書』に記載されていますが、詳細数値等はこちらに掲載されていません。
具体的な数値は、『国土交通省 国土技術政策総合研究所』HPに、EXCEL・PDF形式で公開されていますのでそちらより確認できます。
各項目(労務・機械・材料単価)に対して基準数量当たりの数量を算出し、各単価金額を乗じて、1単位当たりの施工金額を算出
標準単価に、各項目(労務・機械・材料単価)の構成比と、積算地区単価と東京代表単価の比率を掛け、1単位当たりの施工金額を算出
文字だけでは分かりにくいのでポイントを纏めると以下のようになります。
構成比とは、1単位当たりにその項目が占める割合の事で『%』で表します。
施工パッケージでは、単価(労務・機械・材料・その他)はそれぞれ2つ存在します。
積算地区単価とは、積算する該当地区の単価という意味で、福岡県の積算を行うのであれば『福岡県の単価』が積算地区単価となります。
施工パッケージの基準として東京単価を設定しています。
注意ポイントとして、東京代表単価は、最新単価ではなく、1年度前の単価を使用します。
標準単価とは、施工パッケージ毎に設定されている「この施工条件だと、〇〇円」という金額です。
例えば、『掘削』という施工パッケージで、
施工条件が、『土砂、オープンカット、押土無し、障害無し、施工量5,000m3~10,000m3』の場合、
標準単価は263.97円です。
施工パッケージ型積算方式は、積算地区単価(例:福岡県)と東京代表単価を比較し、各単価毎に構成比(重みの意味)を乗じ、1単位当たりの施工単価を算出します。
実際に施工パッケージ型積算方式の計算を行います。
【条件】
構成比や積算地区単価・東京代表単価を表にまとめました。
▼スクロールできます
規格 | 構成比(%) | 東京(R2) | 福岡(R3) | ||
---|---|---|---|---|---|
K | 47.55 | ー | ー | ||
K1 | バックホウ(クローラ型) [標準型・超低騒音型・排出ガス対策型 (第3次基準値)] 山積0.8m3(平積0.6m3) |
47.55 | 21,200 | 21,200 | |
R | 33.92 | ー | ー | ||
R1 | 特殊運転手 | 33.92 | 24,200 | 21,300 | |
Z | 18.53 | ー | ー | ||
R1 | 軽油 | 18.53 | 116 | 115 |
上表を計算式にすると以下のようになります。
積算単価(福岡の施工単価) =
標準単価 × { 構成比【機械】 × ( 積算地区単価【福岡・機械】 / 東京単価【機械】 )
+ 構成比【労務】 × ( 積算地区単価【福岡・労務】 / 東京単価【労務】 )
+ 構成比【材料】 × ( 積算地区単価【福岡・材料】 / 東京単価【材料】 ) }
計算式に具体的な数値・単価を当てはめます。
積算単価(252.9) =
263.97 × { 0.4755 × ( 21,200 / 21,200 )
+ 0.3392 × ( 21,300 / 24,200 )
+ 0.1853 × ( 115 / 116 ) }
今回は説明のため、計算式など一部省略し出来る限りシンプルにしています。(令和3年度基準)
上記例のように、各単価へ構成比と積算地区単価と東京代表単価を当てはめて算出します。
施工パッケージ型積算方式の大きな枠組みは全国統一です。
発注者毎に違いが発生する部分としては、単価部分と端数処理です。
積算地区単価(例:福岡)は当然異なりますが、東京代表単価が微妙に違うことがあります。
同様に端数処理も発注者毎に異なる可能性があります。
現在の積算では、施工パッケージ型積算方式が多数を占めていますので、この辺りもしっかり把握しておきたいポイントです。
大切な事は、施工パッケージを正しく(正確に)利用するということです。施工パッケージ型積算方式のように基本的な部分になればなおさらです。
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