公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力をえて、福島県の土木積算の特徴・コツについてまとめました。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国21拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、⽇々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。ここではその一部をお見せいたします。(下記情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料より引用もしくは参照し作成しております。)
福島県における公共工事予定価格は、事後公表による入札となっています。
令和3年4月からは「最低制限価格等算定式」が公表されています。最低制限価格等算定式とは、価格競争における最低制限価格および総合評価方式における調査基準価格の算定式を指しています。
この算定式が公表されたことで、最低価格で札入れを行うにあたっては、予定価格に100%合致している内訳書を用意する必要があります。また、最低制限価格等算定式は下記の通りとなっています。
「中央公契連モデル式×福島独自係数(100円未満切り捨て)」
この計算式についても細かいルールがあります。例えば、「計算途中・算出後の2か所で87〜92%の上下限判定が必要」といったものがありますので、あらかじめルールについてチェックしておくことが必要です。
また、令和4年4月より、最低限価格等算定式については一部改正が行われています。具体的には中央公契連モデル式の一般管理費が「55%→68%」へ引き上げとなっています。
また、最低制限価格算定式の公表後には、同札となったことからくじ引きを行うといったケースも多く見受けられます。
福島県の場合では、公告時点で積算における独自コードや積算条件、代価構成、見積もり単価などが公表されています。このことから、高い精度の積算が求められていることはもちろん、どれだけ効率良く、ミスをなくして件数をこなすか、という点も大切なポイントとなります。
福島県の公共工事においては最低制限価格等算定式が公表されています。それに対し、市町村については算定式を非公表としていたり、一定の範囲内で調整をしたりする市町村もあります。そこで、郡山市、いわき市、会津若松市、福島市の最低制限価格の設定方法を見ていきましょう。
郡山市の最低制限価格の設定方法は下記の通りです。
上記の額の合計額に、一定の範囲での調整を加えて最低制限価格が決定されます(調整範囲は非公表)。設定範囲としては予定価格の87〜92%とされています。
いわき市の最低制限価格の設定方法は下記の通りとなっています。
上記の合計額に、一定範囲で調整を加えて最低制限価格を決定します。設定範囲は予定価格の85〜92%です。
>会津若松市では、「最低制限価格算定基礎額×ランダム係数(1.0000〜1.0100)」で算出されます。ここで出てくる最低制限価格算定基礎額は、下記の計算で求められた額の合計を使用できます。
基礎額の範囲としては、「予定価格の75%〜(92÷1.01)%」となっています。
福島市の場合は最低制限価格の算定式が非公表であり、設定範囲としては予定価格の75〜92%となっています。
また、低入札調査基準価格設定案件については、下記の式で算出された額の合計を用います。
福島県の土木工事では、いわき市を除く全ての市町村において同じ積算システムを用いています。さらに、福島県独自の除染工事や港湾工事、それぞれの市町村における水道工事の多くが、県の土木工事と同様の積算システムを採用している点も特徴といえるでしょう。ここでは、福島県の土木積算における特徴をご紹介します。
毎年10月が年度改定のタイミングです。福島県の特徴として、復興歩掛や除染歩掛など、独自の考え方が一部あるという点があげられるでしょう。さらに、歩掛の丸め処理においては、代価合計を10円止めとするために5〜14円の加算をするといった対応を行う場合もあります。
また、土木歩掛には独自のコードが用意されているため、コードの検索を行うことで効率の良い積算が可能です。
単価についても福島県のルールがあり、基本的には「建物単価」と「積算資料」の平均値を採用しています。その場合の端数処理についても細かく指定されていますので、確認しておきましょう。
さらに令和4年7月25日には、資材単価の価格高騰への対応を目的として、毎月単価の改正を実施するということについて通達が行われています。毎月改正が行われる単価の種類としては下記の項目があります。
経費の特徴としては、下記の4点が挙げられます。
いわき市の場合には、県とは異なる積算ソフトを採用していることから、独自のコードが存在しています(ATLUSではいわき市の独自コードでの積算も可能)。
さらに、令和4年度からは電子入札も開始しています。このことから、これまでは対応していなかった「設計書の取り込み」昨日も有効になる可能性もありました。
ここでは、設計書において「特殊勤務費の加算額」と「時間的制約の補正」と「週休補正」が重複している場合の計算式と端数処理について解説していきます。このケースでは、端数処理方法が特殊であるため、注意する必要があります。
例として、交通誘導員Bについて考えてみましょう。
上記の場合、計算式は下記の通りとなります。
①13,700+6,600=20,300円
②20,300×1.06=21,518→21,520円(10円未満は四捨五入)
③21,520×1.01=21,735.2→21,740円(10円未満は四捨五入)
福島県では、令和3年10月から市場価格における週休補正に対応しています。ただし、福島県独自の端数処理方法を行うため、積算を行う場合には注意が必要となります(計算式を誤ると最低制限価格が全く合わなくなってしまいます)。こちらについても計算例を見てみましょう。
上記の場合の計算式は下記の通りとなります。
①1,330×1.01=1,343.3→1,340円(10円未満切り捨て)
②1,340×1.4 =1,876→1,876円(円未満切り捨て)
福島県は非常に広く、降雪量にもかなり差があるため「豪雪補正」がかかる地域・かからない地域に分かれている点にも注意が必要です。
豪雪補正がかかる地域における積算は、基本的には豪雪補正ありの条件での積算を行うことになりますが、一部の歩掛においては、豪雪補正のない地域から使用する機械を持ってくるというケースを考慮し、「豪雪補正の有/無」という条件が追加されているという点に注意が必要となります。
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各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」
上記の他にもまだまだたくさんの各地域独自の土木積算の特徴やルール、クセ(習慣)などが存在しています。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことはほぼ不可能です。
土木積算システム「アトラス」は全国21拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や情報を日々収集し、検証作業を行い、システムのアップデートやユーザーのサポートをおこなっています。アトラスのサポートやシステムを使うことで効率的に地域特徴にあった土木積算を精度高く行うことが可能になります。
30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システムATLUS REAL Evo(アトラス レアル エボ)。
その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス(ATLUS REAL Evo)」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!