国土交通省が発注する工事の予定価格は事後公表を採用しています。最低制限価格や入札価格調査基準価格の事前公表をすると、建設企業の見積努力を損なわせる懸念があるからです。複数の建設企業が同じ価格で工事の見積を出すことで、くじ引きによる落札が増加。運次第の受注ばかりになりかねません。技術力や経営力を磨いてきた企業が受注できないリスクが出てきます。報われない企業が出る状況は建設業界にとって良いとはいえません。そのため国は地方公表団体に対し事後公表の意向を要請しています。
国土交通省は低入札価格調査基準を設定しています。理由はダンピング抑制のためです。ダンピング受注は工事の手抜きにつながりかねません。下請け業者へのしわ寄せ、公共工事従事者への賃金や労働条件の悪化、安全対策がいい加減になる可能性もあります。若年層が「建設業界で働きたくない」と思う原因になるかもしれません。建設業界の健全性の維持と発展性のためにも、調査基準価格の適宜見直しを実施しています。
国土交通省は毎年4月を改定月としています。4月1日以降の入札締め切り案件は、新年度基準の採用です。4月から新しい積算ルールの改定とともに、歩掛、損料や経費が新年度基準として積算に採用されます。また、新年度労務の採用に関しては3月からの採用が増加中です。
積算で使われる歩掛は、国土交通省土木工事積算基準に準拠しています。ただし、日本どこでも同じわけではありません。北海道開発局や、関東地方整備局、沖縄総合事務局などの各地方支分局で定められた別基準が使われているケースもあります。
各地方支分局から公表単価表が公開されており、積算で必要な情報です。刊行物の単価は当月単価を採用。「建設物価(WEB版含む)」「積算資料(電子版含む)」「土木コスト情報」「土木施工単価」の該当2誌の平均値を取って算出します。
国土交通省の設計書では見積参考資料があります。単価表(代価表)は掲載していないのですが、歩掛条件による積算を実施。経費条件についての記載もあり、見積参考資料に記載された工種区分と経費条件を元にして経費計算をする流れです。見積参考資料以外の設計図書でも積算に必要な重要情報が記載されているケースもあるため、確認しておくのが良いでしょう。
経費控除項目の積算は経費控除項目を管理費区分で表されているのが特徴です。
管理費区分 | 概要 |
0 | すべての間接費を対象とする場合 |
1 | 現場管理費・一般管理費のみ対象とする場合 |
2 | 工場管理費・一般管理費のみ対象し、間接労務費の対象としない |
5 | 一般管理費のみ対象にする場合 |
7 | 間接労務費,工場管理費,一般管理費のみ対象にする場合(製作工数に関わるもの) |
9 | 全ての間接費の対象にしない場合 |
T | 処分費等の対象にする場合 |
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