公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力をえて、北海道の土木積算の特徴・コツについてまとめました。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国21拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、⽇々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。ここではその一部をお見せいたします。(下記情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料より引用もしくは参照し作成しております。)
北海道発注の公共工事は2020年度に3500件強の発注がありました。(そのうち建設管理部が2300件、農政部が650件、林務部・水産林務が400件)
予定価格は全て事後公表によるものとなり、同年度の建設部工事の平均落札率は93%程度となっています。(2008年度より事後公表)
競争率の高い地域での平均落札率は89~90%となっており、最低制限価格の同札でくじ引きというケースが多く存在します。
また、平成27年10月改訂から施工パッケージの導入により、「見積用参考資料」で全ての下位代価まで公表されるようになり、不明確な項目が殆どなくなったため、受注者の積算精度が大幅に向上しました。
札幌市の公共工事は毎年2000件前後発注されており、こちらも予定価格は事後公表による入札となっています。(2009年度より事後公表)
予定価格が事後公表になっているにも関わらず、土木一式工事においてのくじ引き発生率は72.6%と非常に高い結果となっています。(2021年度10月末時点)
くじ引きによる入札では無くても、入札価格が予定価格を上回り、他に(予定価格以下最低制限価格以上の)入札者がいない場合は再入札が執り行われますので、スムーズな入札と契約を行うためには予定価格を把握し入札に臨む必要があります。
当然ですが最低制限価格を下回る価格での札入れを行った場合は基本的に失格となり、入札価格の第一順位者であっても落札権利が失われます。(低入札価格調査制度が適用される場合は例外)
最低制限価格での札入れを行う場合には予定価格に100%合致する内訳書の用意が必要となります。そこからくじ引きとなり、万が一落札できなかったことを考えると、複数件の積算を行う労力が発生します。
そのため、積算に求めることは精度に加えてどれだけ効率よく件数をこなすかという点も重要となります。
予定価格がわからない中、最低制限価格を求めるためには正確なデータと正しい知識が必要です。
正確なデータとは北海道または札幌市が管理する単価や建設物価・積算資料等の物価本、積算基準や積算要領等です。
単価は積算三大要素である機械・労務・材料の金額を差し、これらの単価は毎月改定(例外有)が行われています。
北海道では「建設部」「農政部」「林務部」「水産部」「札幌市」「各地域単価」にて独自の単価表を持ちます。
使用する単価金額根拠は主に「建設物価(WEB版含む)」「積算資料(電子版含む)」「土木コスト情報」「土木施工単価」を参照とし、該当する2誌の平均値をとります。
※燃料単価の関係もあり、毎月単価改定があります。
積算基準(歩掛)では作業に係る機械・労務・材料の構成比が定められており随時改定が行われています。
国土交通省の基準を基本としますが、北海道では「土木」「下水道」「港湾」「公園」は一部独自基準を持ち、「農政部」「林務部」については、独自基準を採用しております。
札幌市についても一部独自基準を持っています。
※毎月の市場動向等にて内容が都度改定される場合がございます。
積算要領は単価と積算基準を元に積上げられた工事費の端数処理等のルールや、工種や現場状況に合わせた必要経費や利益を算出するための共通仮設費・現場管理費・一般管理費の算定ルールが定められています。
発注部局毎の経費計算のルールは次の通りとなっています。
▼スクロールできます
|
局単価 |
地区単価 |
物価本 |
市場単価 |
積算要領 |
積算基準 |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道 |
毎月 |
4月/10月 |
毎月 |
1月/4月/7月/10月 |
10月 |
10月 |
札幌市 |
毎月 |
- |
毎月 |
1月/4月/7月/10月 |
10月(4月) |
10月(4月) |
開発局(参考) |
毎月 |
4月/10月 |
毎月 |
1月/4月/7月/10月 |
4月 |
4月 |
※上記月は基本改定のため、途中改定等が発生する場合があります。
一言に冬期といっても冬期に係る部分は積算上様々あります。
まずは労務に係る部分で、北海道建設管理部、札幌市の入札においては【10月1日以降の入札する屋外工事で、工期が同年度3月31日まで、かつ11月1日から3月31日までの期間が全工期の2分の1以上を超える場合】これらの条件を満たした場合に労務費に対して冬期労務補正を行います。
またこの労務補正については冬期前提の作業(除雪等)の場合には補正を行わない、仮囲い内で作業をおこなう工種については補正値を3分の1にする等の制約があります。
次に現場管理費に対して補正を行う、施工時期補正です。
これは北海道で定められている冬期期間(11月1日~3月31日まで)が工期の何%を占めているかの冬期率に施工場所(積雪寒冷地域)に応じて定められている等級地(札幌市は2級地)を乗じて算出する補正値です。
この施工時期補正については労務費に対して行う補正とは別で、入札期間や工期等の制約はなく、冬期期間に工期か1日でも跨る場合は補正を行います。
最後に機械損料に係る豪雪補正です。豪雪補正については入札時期や期間制約が全くなく、北海道内での発注工事については必ず掛かる補正となっています。(建設機械等損料表には北海道版が存在し、北海道版には豪雪補正15%が加味された単価が掲載されている)
各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」
上記の他にもまだまだたくさんの各地域独自の土木積算の特徴やルール、クセ(習慣)などが存在しています。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことはほぼ不可能です。
土木積算システム「アトラス」は全国21拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や情報を日々収集し、検証作業を行い、システムのアップデートやユーザーのサポートをおこなっています。アトラスのサポートやシステムを使うことで効率的に地域特徴にあった土木積算を精度高く行うことが可能になります。
30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システムATLUS REAL Evo(アトラス レアル エボ)。
その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス(ATLUS REAL Evo)」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!