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土木積算のポイント 施工箇所が点在する工事の積算

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施工箇所が点在する工事の積算について解説します。

『施工箇所が点在する工事』と『点在しない工事』では、積算結果が大きく異なります。

適切な計算を行わないと、設計価格と大きな誤差が発生したり、最低制限価格に誤差が発生することになります。

「施工箇所が点在する工事」の導入経緯

施工箇所が点在する工事の積算方式が導入された要因として、

建設機械を複数箇所に運搬する費用や複数箇所の交通規制等がそれぞれの箇所で発生するなど、積算額と実際にかかる費用に乖離が考えられるため

実際にかかる費用と乖離してしまうと、受注業者が利益を残せないことになります。

利益を残せない工事は落札したいと思う業者は減っていきます。

結果、入札の不調が発生し、必要な工事が行えず社会基盤整備計画などに空白が生じてしまいます。

公共事業全体として不都合が生じないために、新たな積算方式を検討したという一因もあります。

施工箇所点在の定義と計算方法

施工箇所が点在する工事とは、施工箇所が複数あり、施工箇所が1km以上離れている場合と定義しています。

通常の積算は、工事全体で間接工事費(共通仮設費・現場管理費)を算出します。
対して、施工箇所が点在している工事は、各施工箇所ごとに間接工事費(共通仮設費、現場管理費)を算出します。

各施工箇所ごとに間接工事費を算出する事によって、工事全体で計算するよりも工事費は高くなります。

通常工事 < 施工箇所が点在する工事

間接工事費(共通仮設費・現場管理費)は各施工箇所ごとに算出しますが、一般管理費は工事全体で算出します。

施工箇所が点在する工事の計算比較

実際に金額を当てはめて通常工事と施工箇所が点在する工事を計算し比較します。

<条件>

  • 工種区分:道路維持工事
  • 施工場所:市街地
  • 直接工事費:50,000,000円

上表が『通常工事(施工箇所が点在しない工事)』で、下表は直接工事費が同額の『施工箇所が点在する工事』です。

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通常工事
直接工事費 50,000,000円
共通仮設費 10.7 % 5,350,000円
現場管理費 42.01% 23,252,000円
一般管理費 16.19% 12,725,000円
工事価格 91,327,000円

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工事全体 (1)+(2) 点在箇所(1) 点在箇所(2)
直接工事費 (1)+(2) 50,000,000円 30,000,000円 20,000,000円
共通仮設費 (1)+(2) 6,808,000円 12.82% 3,846,000円 14.81% 2,962,000円
現場管理費 (1)+(2) 26,526,000円 45.5 % 15,399,000円 48.46% 11,127,000円
一般管理費 16.19% 12,725,000円
工事価格 96,059,000円

今回は、点在箇所が2箇所の場合ですが、工事によっては点在箇所が数箇所のケースもあります。

通常工事として計算すると工事価格は約9,100万円ですが、施工箇所が点在する工事で計算すると、約9,600万円となります。

2つの表を比較すると、

  • 共通仮設費は約535万円→約680万円に増額し、
  • 現場管理費も約2,325万円→約2,652万円に増額しました。
  • 一方、一般管理費はほぼ変わりません。

共通仮設費や現場管理費は施工現場にかかる費用なので、施工箇所が増えることで増額になります。
一方、一般管理費は本社経費ですので、施工箇所が増えても本社経費への影響はほぼ無いと考えられるため増額になりません。

施工箇所が点在する工事の注意点
施工箇所点在の細かい計算式が発注者によって異なることがあります。

一例として、一般管理費の計算部分が異なります。

今回の例では、通常工事と施工箇所が点在する工事で一般管理費は同額でしたが、発注者によっては計算式が異なり一般管理費も異なる場合があります。

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