公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力をえて、宮崎県の土木積算の特徴・コツについてまとめました。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国21拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、⽇々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。ここではその一部をお見せいたします。(下記情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料より引用もしくは参照し作成しております。)
宮崎県では、ここ数年で3度の最低制限価格制度の改定がありました。
1度目の改定は2017年4月1日。それまでは、最低制限価格は工事価格(税抜)の「概ね90%」とされていたところ、同年の改定により最低制限価格を「最低制限価格基礎額(計算式有り)+ランダム値」と規定し、初めて最低制限価格算定式を明確に導入しました。
2度目の改定は2019年4月1日。最低制限価格基礎額の上限値を改定し、それまで工事価格(税抜)の「90%」だったところ、以後は「92%」へと引き上げました。
3度目の改定は2022年4月。最低制限価格基礎額算定式を改定し、基礎額を求める際の一般管理費の掛け率を「55%」から「68%」へと引き上げました。
これら3度の最低制限価格制度の改定の中で、特に2度目の改定は、県内の建設業界における入札意識を引き締めるきっかけとなっています。
宮崎県では、基本的に工事終了後に予定価格が公表される流れとなっています。そのため、事前に入札価格を予想することは難しい状況です。
とりわけ上記で説明した2019年4月1日の上限値改定を機に、県内の建設業界においては、概算で入札に参加しても落札できなくなったとの認識が浸透。正確な積算を前提としなければ落札が難しい状況の中、建設請負の入札競争はますます激化しています。
宮崎県における土木清算では、公共3部(土木(港湾)・農政・林務)と営繕(建築)の一部工種において独自の基準を設定しています。 なお、端数処理の設定は県の独自性が強いため、各部によって異なるので注意が必要です。
歩掛は毎年10月に年度の改定を実施しますが、市場動向等に応じて適時改定されることもあります。また、工種によって県独自の歩掛で清算を行います。
基本的には国の基準に沿う方針ですが、実態は現場での考え方を優先。国の歩掛の基準にない条件等が設定されることも少なくありません。 また、単価には県独自の市場単価が存在するため、設計書を吟味のうえ判断する必要があります。
基本的に一季節前に設定した単価を採用します。4~6月は冬号、7~9は春号を採用する形です。
営繕課は独自性が強いため、設計書には不明点が多々あります。予定価格に合わせることは非常に難しいでしょう。
公共3部の各分野において、長期割引を有「有」とするか「無」とするかの基本的な違いがあります。
長期割引「有」の金額を採用します。なお、設計書に長期割引の有無の記載はありません。
原則として長期割引「無」の金額を採用しますが、設計書に記載がある場合には記載に従います。なお、同じ設計書の中に長期割引「無」と「有」が混在している場合があるので注意が必要です。
原則として長期割引「有」の金額を採用しますが、設計書に記載がある場合には記載に従います。「農政」と同様、同じ設計書の中に長期割引「無」と「有」が混在している場合があるので注意が必要です。
※ただし、土木発注工事において、登録単価表に機械賃料が掲載されている場合は注意が必要です。
出典元が物価本で、かつ長期割引の有無の記載がない場合には、長期割引「無」の金額を採用することになります。
施工箇所点在工事の設計書においては、工区によって積算条件が異なることがあります。この場合、設計書内にある「諸経費一覧」(各校区の積算・経費条件が記載されているページ)を参考にして設定する必要があります。
工区による条件の違いの他にも、「施工地域区分」や「現場環境改善費の有無」などの条件にも注意しなければなりません。
宮崎県における登録単価表記載単価においては、基本的に物価資料の「2誌平均」を採用しています。平均で生じた端数の処理については、各部によって詳細に設定されています(※)が、登録単価表記載の単価については、明確な端数処理ルールが設けられているわけではありません。
※例…土木工事標準単価では、1万円以上の単価について有効4桁とし、有効桁以降は切り捨てるルールとなっています。
農政水産部で使用される機械賃料単価については、歩掛(施工単価表)で使用される場合と、T単価表内などで「単価」として使用される場合で、それぞれ端数処理が異なります。
歩掛(施工単価表)で使用される場合には、刊行物平均額を有効数字3桁止め(未満四捨五入)とします。T単価表内などで「単価」として使用される場合には、刊行物平均額をそのまま採用します(端数処理無し)。長期割引の有無にかかわらず、端数処理の考え方はこの通りとなります。
積算制度を上げるためには、発注者によって異なる端数処理を理解することが大切です。
各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」
上記の他にもまだまだたくさんの各地域独自の土木積算の特徴やルール、クセ(習慣)などが存在しています。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことはほぼ不可能です。
土木積算システム「アトラス」は全国21拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や情報を日々収集し、検証作業を行い、システムのアップデートやユーザーのサポートをおこなっています。アトラスのサポートやシステムを使うことで効率的に地域特徴にあった土木積算を精度高く行うことが可能になります。
30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システムATLUS REAL Evo(アトラス レアル エボ)。
その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス(ATLUS REAL Evo)」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!