地域ごと、発注者ごとに土木積算の特徴は異なります。
⼟⽊積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国21拠点に、調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとにことなる積算の傾向や癖などの情報を収集しています。
大量の設計書の検証作業など、⽇々積算精度を上げるためのローカルな情報が蓄積、そしてその知⾒を活かしシステムの精度アップや地域の⼟⽊業者のサポートを⾏っています。ここではその一部をお⾒せいたします。
北海道の土木積算は、「建設部」「農政部」「林務部」「水産部」「札幌市」「各地域単価」にて独自の単価表を持っているのが特徴で、「建設物価(WEB版含む)」「積算資料(電子版含む)」「土木コスト情報」「土木施工単価」を参照として2誌の平均値をとるのが一般的です。
冬が厳しい北海道ならではの冬期に係る部分の土木積算には、労務補正、施工時期補正、豪雪補正など様々な制約があります。
札幌市の土木公共工事入札は、予定価格が事後公表になっているにも関わらず、くじ引き発生率が72・6%と非常に高い傾向にあり、業者にとっては労力がもったいない形式になっています。
北海道の土木積算・入札制度の
地域傾向・特徴について
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青森県の競争入札では、「最低制限価格制度」「低入札価格調査制度」という2種類の制度を導入。低価格の入札による工事品質の低下を防ぐため、総合評価落札方式を取り入れています。特徴としては予定価格が事前公表となっており、積算のズレを確認しやすいという点が挙げられます。
多くの積算基準については10月に改定していますが、前倒しで改定が行われる可能性も。県のホームページを随時確認し、情報収集するようにしましょう。
青森県の土木積算・入札制度の
地域傾向・特徴について
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秋田県では非常に厳しい価格競争があり、格付けランクなどの差はあるものの1,000~2,000円という僅差で落札を競っています。落札するためには、「正しい直接工事の算出を行う」ことと「正しい間接工事費の算出を行う」ことがポイントです。
また、全ての県発注工事で「低入札価格調査制度」を導入。調査基準価格を下回っている場合でも一定の条件を満たした場合には落札できるため、調査基準価格を下回った価格の札入れが多く起こるようになりました。
秋田県の土木積算・入札制度の
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岩手県の発注工事の特徴は、原則として予定価格が事前公表される点です。東日本大震災以前は調査基準価格未満の低入札の発生割合は45.9%でしたが、震災以降は19.2%と大幅に減少しました。
現在は復興関連工事の第1期復興・創生期間が終了したこともあり、今後発注額の減少が予想されています。競争の激化が考えられることから、発注する工事のおよそ6割を「総合評価落札方式」に。正確な積算により低入札とならないように対応していくことが必要です。
岩手県の土木積算・入札制度の
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山形県の公共工事は各総合支庁から発注。予定価格は事後公表が基本ですが、一部は事前公表が行われます。調査基準価格は、直接工事費×97%・共通仮設費相当額×90%・現場管理費相当額×95%・一般管理費等×65%の合計額です。ただし調査基準価格の上限は入札書比較価格の95%で、加減は入札書比較価格の75%と定められています。
また土木積算の歩掛は山形県土整備部の土木工事標準積載基準書に準拠しており、毎年10月に改定が行われます。
山形県の土木積算・入札制度の
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宮城県仙台市では、令和2年4月より工事契約の失格基準が改訂された事により、失格基準額を1円単位まで合わせるために、直接工事費を1円単位まで正確に積算する事が必要になっています。直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費のどれか一つでも基準を下回ると失格になるなど高い積算精度を求められるため、市場の競争が激化しています。
処分費の取り扱いや労務単価の補正など予定価格から相違する箇所について悩む業者も少なくありません。
宮城県仙台市の土木積算・
入札制度の地域傾向・
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福島県の公共工事予定価格は、事後公表による入札です。令和3年4月より最低制限価格等算定式が公表。このことにより、最低価格で札入れを行う際に予定価格に100%合致している内訳書の用意が必要になりました。
また、公告時点で積算における独自コードや積算条件、代価構成、見積もり単価などが公表されていることから、高い精度の積算が求められています。同時に、ミスをなくして効率よく件数をこなすという点も大切なポイントです。
福島県の土木積算・入札制度の
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新潟県が発注する建設工事の価格は全て予定価格が事後公表となっています。最低制限価格は、発注区分に応じ、異なる算定式を採用するのが特徴です。近年の建設工事では、週休2日補正工事が多く、設定額に応じて「発注者指定型」と「受注者希望型」の週休2日補正を適用しています。
新潟県の土木積算は概ね国の積算基準書に準拠した内容になっており、例年10月に改定されています。しかし、建設機械損料については、県内全域で冬期にかかわらず10%の豪雪補正が発生します。
新潟県の土木積算・入札制度の
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栃木県では、国交省積算基準の流用や転用を行って、毎年10月に年度改定されており、栃木県向けにカスタマイズしている歩掛が多数あると言われているのが特徴です。施工パッケージは、SZAやSZB、積上げ歩掛はSと表記されており、基準に入っていない歩掛や単価を取り入れる場合に記載するコードが存在するなど、複雑な構造になっています。
入札制度においては、県の発注をはじめ、25の市町のうち23市町が予定価格を事前公表することになっていますが、宇都宮市のみ事後公表となっています。
栃木県の土木積算・入札制度の
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埼玉県の県発注工事は15年前以上前から一般競争が行われています。以前は積算に関して必要とされる情報があまり公開されておらず、価格差が大きい入札も多くありましたが、近年では非公開だった見積単価の参照先も、交通誘導警備員の人数なども公開されるようになり、より正確な積算の実施が求められています。
埼玉の土木積算は、県とさいたま市でそれぞれ独自の土木単価表を作成しています。歩掛け同様、端数処理(丸め)においても地域によって異なるのが特徴です。
埼玉県の土木積算・入札制度の
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かつては、都内の発注工事に関して全案件事前公表体制を敷いていた東京都。平成29年、事前公表から事後公表の体制へと移行し、下位内訳書となる「見積参考資料」も公表され、積算が可能となりました。
しかし、同時に積算制度による市場競争も激化。より高い積算精度が求められる状況となっています。注意点の一つは歩掛の基準。地方自治体の多くは国の基準を転用・流用しますが、東京都は「土木」「下水道」「上水道」のみ独自の基準を定めています。
東京都の土木積算・入札制度の
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神奈川県の公共工事では、見積単価が設計書に別添されるしくみとなっており、県内の主要な発注者の土木積算に関しては、事前事後の公表に関係なく工事価格の算出が容易です。
一方、県と3つの政令指定都市(横浜・川崎・相模原)はそれぞれに独自の土木工事標準積算基準書を作成。県内全ての歩掛を把握するためには基準書を全て確認しなければなりません。
また、予定価格と積算が合わなくなる個別ポイントが自治体ごとにありますので、算出の際は細かいチェックが必要です。
神奈川県の土木積算・入札制度の
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長野県の公共工事案件は、全て予定価格の事後公表により発注が行われています。そのため事業者間の競争が促進され、各事業者の積算努力による入札額の算出が可能です。
一方、長野県の入札事情は厳しい状況にもあります。なんとなれば、予定価格を1円単位まで正確に算出することが当たり前と思われているからです。市町村発注の工事に関しては、設計書の情報量が県ほど多くはないため、正確なデータを搭載する以上の高いノウハウが求められます。
長野県の土木積算・入札制度の
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静岡県の公共工事は、33市町のうち29市町で事後公表による発注が行われています。87%以上の工事で低入札価格調査基準または最低制限価格が設定されており、最低制限価格付近での叩き合い案件が多いのが特徴です。
歩掛と単価に関しては、歩掛は国(国土交通省/厚生労働省)の基準に準拠。単価は、「土木事務所」「農林事務所」「企業局」「港管理局」にて独自の単価表を有し、材料等の価格は毎月改定されます。
静岡県の土木積算・入札制度の
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愛知県の土木工事入札では、9割以上の案件で低入札価格または最低制限価格を設定。事前公表の地域も多く、県内では54市町村中11市町村のみが事後公表制を採用する状況となっています。そのため同県では、最低限価格の前後で叩き合いが発生しやすいのも特徴です。
歩掛は、一部を除いて国の基準に準拠する一方、土木では愛知県の独自基準「積算基準及び歩掛表」を使用。毎年10月に改定が行われています。
愛知県の土木積算・入札制度の
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岐阜県では、概ね国の基準をそのまま採用するスタンダードな入札を行っています。県独自の基準はさほど多くなく、予定価格は公告時に公表され、最低制限価格・低入札調査価格の算出式も公契連モデルに準拠しています。
倍率の高い入札になると、最低制限価格ピッタリに算出しなければならない傾向にあります。そのために岐阜県では競争入札に備えて最低制限算出の準備をしている会社が多く、県全域において精度の高い積算を行う必要があります。
岐阜県の土木積算・入札制度の
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富山県では、県の独自ルールが加味された特殊な入札形態となっています。発注者側の工事価格は、基本的に事前公表される制度を採用、一部の指名競争入札案件は、公示価格が非公開で入札公告されるものもあります。
入札の際には丁寧な積算を行う必要があるため、積算の精度を上げ、一定水準以上の知識やノウハウが求められます。また、低入札調査基準や最低制限価格基準についても、県や市町村ごとで採用されている制度に若干の違いがあるため注意が必要です。
富山県の土木積算・入札制度の
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石川県の発注は、予定価格が入札公告の際に公表されます。また、最低制限価格と低入札調査価格の算出式は、公契連モデルに準拠しており、入札では最低制限価格ちょうどの積算を行うことが、くじ引きへの参加のために必要です。積算に制度の高さが求められます。
また令和3年度より津幡町、令和4年度より金沢市で変動型最低制限価格制度が導入されています。ほかの市町村もこれに追随する動きが見られるので、今後の動向に注目してください。
石川県の土木積算・入札制度の
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福井県は基本的に国の積算基準を採用した入札を行っています。発注者側の工事価格は入札情報サービスを通じて、設計額欄で事前に確認できます。ただし、最低制限価格と低入札調査価格は、中央公建連モデルを超えた県独自の算出式を採用。同じ工事価格で比較すると、落札額が高くなる傾向にあります。
また、福井県と多くの市町でランダム変動する最低制限価格が採用されており、工事価格の±1%の範囲内で最低制限価格採用額が上下します。
福井県の土木積算・入札制度の
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三重県では公契連モデルをベースとした独自の算定式が採用されていますが、津市、松坂市などでは県と異なる最低制限価格の算定式が採用されています。各市町の入札制度に独自性が強い傾向にありますが、多くは最低制限価格での入札を行っています。
三重県と嘉久志町では20201年10月に、積算システムの入れ替えがあり大幅な変更がありました。さらに積算に関する新たな取り組みも進められており、発注者の動向に敏感に情報収集に注力している状況です。
三重県の土木積算・入札制度の
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京都府の土木積算・入札制度の
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大阪府の土木積算・入札制度の
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鹿児島県の土木積算・
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沖縄県の土木積算・
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30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システムATLUS REAL Evo(アトラス レアル エボ)。
その大きな特徴は全国21か所に配置したエリア拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
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昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス(ATLUS REAL Evo)」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!