このページでは、土木積算における一般管理費の内容について紹介していきます。一般管理費とはなにか?費用を構成する内訳について、さらには、工事原価に占める一般管理費等率についても説明していますので、参考にしてみてください。
まず、一般管理費の定義を共有しておきましょう。土木積算における一般管理費とは、土木工事にかかる費用(工事価格)の内訳の一つです。土木工事の工事価格は、大きく「工事原価」と「一般管理費」の2項目に区分され、このうち「工事原価」は工事現場で直接的にかかる費用全体、「一般管理費」は直接的ではないものの、間接的に工事に必要な経費を指しています。
間接的に工事に必要な経費とは、工事を請け負う企業の経営を維持するために必要な費用です。では具体的に、一般管理費にはどのような勘定科目が含まれるのでしょうか。
積算における一般管理費の対象項目は多岐にわたっており、どこまで勘定科目に入るのか分かりにくい面もあります。ここでは、代表的な勘定科目と具体例を表にまとめました。
勘定科目 | 具体例 |
給与 | 従業員への給与・諸手当・ボーナス等 |
役員報酬 | 取締役・執行役・監査役など役員への報酬 |
法定福利費 | 労災保険、解雇保険、健康保険など公的保険制度における事業者負担の保険料 |
減価償却費 | 建物・設備の減価償却費用 |
地代家賃 | 事務所や店舗など借地借家への賃料 |
交際費 | 取引先の接待やお中元・お歳暮にかかる費用 |
広告宣伝費 | 広告や宣伝のために支出する費用 |
福利厚生費 | 慰安、社員旅行、慶弔見舞など従業員の福利厚生を目的とする費用 |
租税公課 | 不動産取得税、固定資産税、事業税など |
保険料 | 火災保険その他の損害保険 |
積算における一般管理費は、工事自体には直接関係しませんが、工事を実施する会社自体の経営に必要な費用です。対象項目がとても多いため、取引の実態から適切に区分けする必要があります。
積算における一般管理費の内容に関しては、費用の内訳だけでなく、「一般管理費等率」についても確認が必要です。一般管理費等率とは、工事価格における工事原価に対する一般管理費の比率です。
国土交通省では建設工事の入札における、建設業者による不当な一般管理費の削減を通じた従業員の労働条件の低下を防ぐため、土木積算の際には「一般管理費等の割合を工事原価に対して一定割合以上にしなければならない」という基準の利率を設定しています。その基準利率が一般管理費等率です。
一般管理費等率の利率は永久に固定されるわけではなく、改定される場合があるため、利率が改定されていないか確認しなければなりません。2022年8月現在の一般管理費等率は、「23・57%~9・74%」です。工事原価が500万円以下の場合は23.57%、30億円超の場合は9.74%と、それぞれ下限が設定されています。
※参照元:(PDF)国土交通省|令和4年度 国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定
一般管理費と現場管理費は、どちらも自社の利益に大きく関わる重要な項目という点は同じです。ただし、一般管理費と現場管理費では、対象が異なります。
現場管理費が工事現場を管理するためにかかる費用なのに対し、一般管理費は会社を運営するために必要な費用です。また、現場管理費は工事現場で発生する費用のため工事原価に含まれますが、一般管理費は会社の運営に関わる費用なので工事原価に含まれません。
ちなみに、現場管理費の対象となるのは現場監督の給料や交通費、労務管理費、工事現場に対してかける保険料、工事現場の事務所でかかる事務用品費などの間接費です。工事の施工に直接関わる材料費や職人の労務費、機械費は現場管理費に含まれません。
現場管理費は工事原価に影響するため、しっかりと管理できていないと工事費の金額を適正に設定できなくなります。それにより赤字工事になったり、入札に参加した際に見積もり金額が高くて受注できなくなったりする可能性があるため、適切な管理が求められます。
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