公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力をえて、秋田県の土木積算の特徴・コツについてまとめました。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国21拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、⽇々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。ここではその一部をお見せいたします。(下記情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料より引用もしくは参照し作成しております。)
現在の秋田県における公共工事の入札では、非常に厳しい価格競争により落札を競っている状況です。当然エリアや格付けランクの差はあるものの、1,000円・2,000円という僅差で落札を競っています。
このように、わずかな差で落札するために必要なポイントは、「正しい直接工事の算出を行う」と「正しい間接工事費の算出を行う」という2点があげられます。すなわち、逆計算に頼らずに予定価格に合わせられる積算スキルを持つことが重要となってきます。
また、秋田県における全ての県発注工事では「低入札価格調査制度」が2022年4月から実施されるようになりました。低入札価格調査制度とは、公共工事などの入札において官公庁などが設定した「調査基準価格」よりも低い価格での入札があった場合、その会社に対して発注者が価格の根拠を聴取し、工事が適正に行われるかを調査する制度です。
この場合、最低制限価格と異なり調査基準価格を下回っている場合でも、一定の条件を満たした場合には落札することができるため、調査基準価格を下回った価格の札入れが多く起こるようになりました。 このように、積算の精度が高いかどうかという点よりも、札入れ金額の低さが入札結果を左右するという仕組みは、今後さまざまな悪影響をもたらすと考えられています。総合評価落札方式など、施工の品質や安全性を担保する仕組みがなく、価格優先で入札を行う方式は、さまざまなマイナスの影響が出てくることが懸念されています。
上記でご紹介した通り、秋田県の公共工事においては、発注手続き等の透明性や公平性の確保を図るために、令和4年4月1日以降に入札公告等を行う県発注工事においては全て低入札価格調査制度が適用されています。
この制度の導入に伴い、入札に参加する企業側では調査基準価格で入札を行うのか、またその価格よりも低い価格で入札を行うのかを判断する必要があります。この部分を正しく判断するためには「正確なデータ」「正しい知識」が必要となります。 この時に必要になってくる「正確なデータ」とは、下記のようなものが挙げられます。
「単価」は毎年4月に全面的な改定が行われています。改定に用いる建物物価・積算資料などの物価資料は3月号を使用し、その平均値が採用されます。その後の単価については、その月の前月の単価と比較した上で、「主要資材については市場価格の変動があった場合」、「その他の一般資材については5%以上の変動があった場合」について改定を行います。
ここでいう「主要資材」とは、アスファルト合材、生コンクリート、鉄筋コンクリート用棒鋼、石材、燃料類を指します。
また、市場単価・土木工事標準価格については年4回(4月・6月・9月・12月)の改定が行われています。改定を行う場合には、下記の号数を用いています(秋田県は基本的に毎年冬号を採用していますが、改定があった単価については最新号を採用します)。
市場価格・土木工事標準単価についても4月に全面改定、その後は5%の変動が発生した場合に改定が行われています(一般資材と同じルールで運用されています)。
歩掛や経費などに関する積算基準については、ほぼ全ての発注において毎年10月に改定が行われています(土木・港湾・土地改良・治山林道)。
秋田県の公共工事積算の特徴として、「冬期補正」が挙げられます。精度の高い積算を行う上では、この部分の考え方も重要な要素となりますので確認しておくことが必要です。
秋田県土木では、下記の条件を満たした場合、労務費に対して冬期歩掛補正が行われます。
【条件】10月1日以降に閲覧を開始する工事で、補正対象となる「11月1日から3月31日」の冬期間が全ての工期の2分の1を超える屋外工事
冬期歩掛補正については、下記のような工事は対象外となっています。
上記に当てはまる工事の場合には補正を行いませんので注意が必要です。また、秋田県土木では交通誘導警備員については冬期歩掛補正の対象外となります。
施工時期補正(積雪寒冷地域補正)とは、現場管理費に対して補正を行うものです。 秋田県では、「11月1日〜3月31日」を冬期期間と定めていますが、工期の中でこの冬期期間がどれだけの割合を占めているのかといった「冬期率」に対して、施工場所に応じて定められている補正係数を乗じることによって補正値を算出します。秋田県の積雪寒冷地域の区分は4級地となっており、補正係数は「1.2」を使用します。
ここで紹介している施工時期補正は、入札期間や工期などの制約がない、という点が特徴です。そのため、たとえ1日のみだったとしても冬期期間に工期が重なる場合には補正が行われます。
機械損料の豪雪補正については、入札時期に関わらず秋田県内での発注工事に掛かる補正となっている点が特徴です。豪雪補正として「10%」が補正されることになります。
ただし、積雪によって機械の稼働率低下をもたらさない場合には補正を行いません(例えば除雪作業に使用する機械や、トンネル工事にて使用する機械など)。さらに、東京や仙台など豪雪地域補正対象外の地域から輸送して使用する機械も豪雪補正の対象外となる点に注意が必要です。
近年、働き方改革の取り組みが行われている関係で、2022年4月以降は多くの県発注工事が週休2日制の対象となっています。このように「秋田県週休2日制工事」の対象となっている工事については、労務単価・機械賃料・経費に補正がかかります。
例えば、「4週8休」以上の工事の場合には、「労務単価:1.05」、「機械賃料:1.04」、「共通仮設費:1.04」、「現場管理費:1.06」という補正係数を用いて補正する必要があります。
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各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」
上記の他にもまだまだたくさんの各地域独自の土木積算の特徴やルール、クセ(習慣)などが存在しています。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことはほぼ不可能です。
土木積算システム「アトラス」は全国21拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や情報を日々収集し、検証作業を行い、システムのアップデートやユーザーのサポートをおこなっています。アトラスのサポートやシステムを使うことで効率的に地域特徴にあった土木積算を精度高く行うことが可能になります。
30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システムATLUS REAL Evo(アトラス レアル エボ)。
その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス(ATLUS REAL Evo)」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!