公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力を得て、京都市の土木積算や入札制度における地域的な傾向と特徴についてまとめました。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国23拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、日々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。
ここではその一部をお見せいたします。
(※以下の情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料および京都市公表資料をもとに編集・作成しています。)
京都市では、公共工事の発注において、透明性・競争性・公平性の確保を目的に、入札・契約制度を運用しています。
京都市は、入札・契約制度の改善や情報公開の推進、不正行為へのペナルティ強化などを進めており、その一環として「京都市電子入札システム」を平成17年11月から運用しています。
引用元:京都市「電子入札システム」
建設工事では電子入札を中心に、一般競争入札、指名競争入札、総合評価方式、最低制限価格制度、低入札価格調査制度などが案件の規模や内容に応じて運用されます。
京都市は、歴史的市街地、観光地、狭隘道路、地下埋設物、景観配慮、交通規制など、都市特性が積算に影響しやすい地域です。そのため、単価や歩掛だけでなく、施工条件、作業時間帯、交通誘導、仮設、搬入出条件などを正確に読み取ることが重要です。
京都市の公共工事で広く採用される方式です。公告において、工種、等級、施工実績、配置予定技術者、地域要件などの参加資格が定められ、要件を満たす事業者が入札に参加します。
電子入札では、公告確認、入札書提出、開札、結果確認などをシステム上で行うため、ICカードや利用者登録、提出期限の管理が重要になります。
工事内容や規模、発注条件によっては、指名競争入札が採用される場合があります。発注者が施工実績や技術力、地域性などを踏まえて業者を指名し、その範囲内で競争を行う方式です。
少額案件、緊急工事、特殊な施工条件を伴う工事などでは、随意契約が適用される場合があります。ただし、公共工事の透明性確保の観点から、適用は限定的です。
京都市では、過度な低価格入札による品質低下や履行不安を防ぐため、最低制限価格制度および低入札価格調査制度を運用しています。
京都市の工事請負契約では、一定の案件において最低制限価格が設定されます。最低制限価格を下回る入札は失格となり、落札対象とはなりません。
京都市の「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」では、営繕以外の工事について、最低制限価格・低入札調査基準価格の算定基礎額を以下の費目で算出するとされています。
引用元:京都市「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」
この合計額が、低入札調査基準価格および最低制限価格の算定基礎額となります。
また、算定基礎額は予定価格の75%から94%の範囲とされ、総合評価の場合を除き、算定基礎額にランダム係数1.000〜1.003を乗じたものを低入札調査基準価格または最低制限価格とします。
引用元:京都市「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」
このため、京都市の入札では、最低制限価格の基礎額を正確に把握することに加え、ランダム係数による変動を想定した価格戦略が必要です。
京都市では、調査基準価格を下回る入札があった場合、契約内容に適合した履行が可能かどうかを確認する低入札価格調査制度が運用されます。
低入札調査基準価格の算定基礎額は、最低制限価格と同様に、直接工事費97%、共通仮設費90%、現場管理費90%、一般管理費等68%をもとに算出されます。さらに、低入札調査基準価格の算定基礎額の98%が失格基準価格とされています。
引用元:京都市「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」
そのため、京都市の積算では、単に工事価格の総額を合わせるだけでなく、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の費目構成を正確に把握することが重要です。
京都市では、営繕工事については、営繕以外の工事とは異なる算定方法が示されています。具体的には、直接工事費から直接工事費の10%を控除した額の97%、共通仮設費の90%、現場管理費に直接工事費の10%を加えた額の90%、一般管理費等の68%を合算します。
引用元:京都市「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」
土木工事だけでなく、建築・設備系の工事を扱う場合は、工事区分ごとの算定方法の違いにも注意が必要です。
京都市では、価格だけでなく、企業の施工能力、配置予定技術者の能力、災害協定、担い手の確保などを評価する総合評価方式が運用されています。
建設局が発注する総合評価方式の特別簡易型による工事では、入札参加者が自己採点表を提出し、客観的に評価可能な項目をもとに評価値を算定します。評価値が最も高い第1順位者のみの技術資料を確認し、落札決定する方式が令和7年5月15日以降に入札公告を行う工事から実施されています。
引用元:京都市「総合評価方式」
総合評価方式では、以下のような項目が評価対象となります。
総合評価案件では、単純な最低価格競争とは異なり、価格点と技術点のバランスが重要です。積算価格を抑えるだけでなく、施工実績や技術者評価、地域貢献項目を踏まえた入札戦略が求められます。
京都市の工事では、入札時または契約後に、工事費内訳や請負代金内訳に関する書類の提出が求められる場合があります。
京都市の建設局関連様式では、請負代金内訳書の記載例として、工事名、契約年月日、工期、費目、工種、種別、細別、規格、単位、員数、単価、金額などを記載する様式が示されています。
引用元:京都市「請負代金内訳書」
内訳書の作成では、単に合計金額を記載するだけではなく、設計書との整合性、費目区分、単価根拠、数量、諸経費対象の扱いを確認することが重要です。
特に最低制限価格や低入札調査基準価格の算定では、費目ごとの構成が重要となるため、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等を正確に整理する必要があります。
京都市では、公共土木工事の予定価格を算出するための情報の透明性を向上させる目的で、公表図書の一部を公開しています。対象となる公表図書には、土木工事標準積算基準書の共通編、河川編、道路編、電気通信編、機械編、京都市土木積算システム設計単価、土木工事標準積算基準書<建設局運用>及び参考資料などが含まれます。
引用元:京都市「積算方法等」
京都市の公表図書の適用期間は、当年8月11日から翌年8月10日までとされています。また、公表期間は当年9月11日頃から翌々年8月10日頃までで、年度途中に改定や訂正がある場合は追加で公表されます。
引用元:京都市「積算方法等」
このため、京都市の積算では、公告日だけでなく、設計書に記載された基準適用年月や、適用される積算基準の年度を確認することが重要です。
京都市では、国土交通省の土木工事標準積算基準書をベースとしつつ、京都市独自の運用を反映した読替え版を「土木工事標準積算基準書<建設局運用>及び(参考資料)」に掲載しています。
引用元:京都市「積算方法等」
そのため、国の基準だけを確認するのではなく、京都市建設局運用の読替え内容を確認することが重要です。特に、歩掛条件、補正条件、積算単価、間接費率、端数処理、工種別の運用差が予定価格との差異につながる場合があります。
京都市の土木工事では、「京都市土木積算システム設計単価」などの市公表単価や、建設物価、積算資料、土木施工単価、土木コスト情報などの物価資料、市場実勢価格を踏まえた単価が用いられます。
京都市は観光都市・歴史都市としての特性があり、施工場所によっては以下のような条件が単価や施工費に影響しやすくなります。
そのため、単価表の確認に加えて、設計図書・特記仕様書・現場説明書に記載された施工条件を正確に読み取る必要があります。
京都市の積算では、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の区分を正確に把握することが重要です。
最低制限価格および低入札調査基準価格の算定では、各費目ごとに異なる率が設定されるため、費目区分の誤りが最低制限価格や調査基準価格の予測精度に直結します。
特に、以下のような項目は経費計算上の取り扱いを確認する必要があります。
設計書の備考欄や条件明示に、諸経費対象外、率対象外、積上げ計上などの記載がある場合は、経費算定結果に大きく影響するため注意が必要です。
京都市では、市公表単価や物価資料に基づく単価だけでなく、現場条件に応じた見積単価が採用される案件があります。
特に、京都市では以下のような条件により、見積単価や施工単価が変動しやすくなります。
同じ工種・同じ材料であっても、施工場所や作業条件によって金額が大きく異なる場合があります。過去案件の金入り設計書や採用単価の傾向を確認し、条件差を反映した積算を行うことが重要です。
京都市の工事では、設計図書、特記仕様書、見積参考資料に、積算上重要な条件が記載されている場合があります。
特に確認すべきポイントは以下です。
京都市では、適用基準の年度や基準適用年月によって積算結果が変わる場合があります。公告資料だけでなく、設計図書一式を確認し、積算条件を読み落とさないことが重要です。
京都市では、最低制限価格および低入札調査基準価格の算定にランダム係数が用いられます。総合評価の場合を除き、算定基礎額に1.000〜1.003のランダム係数を乗じて価格が算出されます。
引用元:京都市「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」
そのため、応札価格を検討する際には、次の点を意識する必要があります。
京都市では、最低制限価格付近に応札が集中する案件も想定されます。価格戦略を立てるうえでは、積算精度だけでなく、制度上の価格変動要素も考慮する必要があります。
京都市では、営繕以外の工事、営繕工事、測量、建築設計、土木設計、地質調査、補償調査などで、最低制限価格・低入札調査基準価格の算定方法が異なります。
引用元:京都市「低入札調査基準価格及び最低制限価格の算定方法」
そのため、土木工事以外の業務や、建築・設備系工事を含む案件では、該当する工事区分・業務区分を確認したうえで積算する必要があります。
各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」
上記の他にも、各自治体独自の土木積算の特徴やルール、クセ、運用上の習慣などが多数存在します。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことは容易ではありません。
京都市では、最低制限価格・低入札価格調査制度・総合評価方式・京都市建設局運用の積算基準・基準適用年月・ランダム係数・工事区分別の算定方法など、積算実務で確認すべき項目が多岐にわたります。
土木積算システム「アトラス」は全国23拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や最新情報を日々収集・検証し、システムのアップデートやユーザーサポートを行っています。
アトラスを活用することで、京都市仕様の積算条件を効率的に反映し、現場実態に即した見積作成を高精度に行うことが可能になります。
京都市の公共工事入札は、電子入札を基本としながら、最低制限価格制度、低入札価格調査制度、総合評価方式などを組み合わせて運用されています。
特に、京都市では最低制限価格や低入札調査基準価格の算定において、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の費目構成が重要となります。また、総合評価の場合を除き、ランダム係数1.000〜1.003が用いられるため、積算精度と制度理解の両方が落札結果に影響します。
さらに、京都市は歴史的市街地や観光地、狭隘道路、景観配慮、交通規制など、地域特有の施工条件が多く、設計図書や特記仕様書の読み込みが欠かせません。
土木積算システム「アトラス」を活用すれば、京都市仕様の積算条件を効率的に反映し、発注者ごとのルール差異や地域特性を踏まえた見積作成を実現できます。積算精度と業務効率を同時に高めるツールとして、ぜひご活用ください。
各地域の積算傾向を徹底分析し、京都市仕様にも対応。
発注者ごとの積算条件を反映し、最適な見積づくりをサポートします。
30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システム「アトラス」。
その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!