公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力を得て、大阪市の土木積算や入札制度における地域的な傾向と特徴についてまとめました。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国23拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、日々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。
ここではその一部をお見せいたします。
(※以下の情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料および大阪市公表資料をもとに編集・作成しています。)
大阪市では、公共工事の発注において、公平性・透明性・競争性の確保と、適正な施工品質の確保を目的に、入札・契約制度を運用しています。
建設工事では電子入札を基本とし、案件の規模や内容に応じて、一般競争入札、指名競争入札、総合評価落札方式、最低制限価格制度、低入札価格調査制度などが組み合わせて運用されます。
大阪市は政令指定都市として工事件数・工種ともに多く、道路、橋梁、河川、下水道、公園、港湾関連など、所管部局や工事内容によって適用基準や単価体系が異なるケースがあります。そのため、入札前には設計図書・特記仕様書・見積参考資料に記載された適用基準を確認することが重要です。大阪市も、各案件ごとに設計図書等に記載の適用基準を確認するよう案内しています。
大阪市の建設工事で広く採用される方式です。入札公告において、工種、等級、施工実績、配置技術者、地域要件などの参加資格が定められ、要件を満たす事業者が入札に参加します。
電子入札により、公告確認、入札書提出、開札、結果確認までがオンラインで行われる案件が中心です。大阪市では電子調達システムを運用しており、入札参加にあたっては事前登録やシステム操作への対応が必要です。
工事規模や内容、発注条件によっては、指名競争入札が採用される場合があります。過去の施工実績、技術力、地域性などを踏まえて指名業者が選定され、その範囲内で競争が行われます。
少額案件、緊急性の高い工事、特殊技術を要する工事などでは、随意契約が適用される場合があります。ただし、公共工事における透明性確保の観点から、適用範囲は限定的です。
大阪市では、過度な低価格入札による品質低下や履行不安を防ぐため、最低制限価格制度および低入札価格調査制度を運用しています。
大阪市の工事請負契約では、一定の案件において最低制限価格が設定されます。最低制限価格を下回る入札は失格となり、落札対象にはなりません。
大阪市の「工事請負契約に係る最低制限価格設定基準」では、最低制限価格の基礎額は、次の費目をもとに算定されます。
この合計額に、一定範囲内で機械が無作為に選んだ係数を乗じて最低制限価格が算出されます。大阪市では、いわゆるランダム係数が導入されているため、単純に積算基礎額だけを算出すればよいわけではありません。
また、算出額には上限・下限の範囲が設けられており、予定価格算出基礎額の75%から94%の範囲を意識した運用となっています。
大阪市では、予定価格が6億円を超える工事請負契約について、低入札価格調査制度が適用されます。必要があると認められる場合には、6億円以下の案件でも適用されることがあります。
調査基準価格を下回る入札があった場合には、ただちに落札とはならず、工事費内訳書、下請予定、手持工事、手持資材、手持機械、労働者の供給見通し、過去の施工実績、経営状況などについて調査が行われます。
調査基準価格の算定も、最低制限価格と同様に次の費目をもとに行われます。
そのため、大阪市の積算では、単に総額を合わせるだけではなく、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の費目構成を正確に把握することが重要です。
大阪市が発注する工事では、全入札者に対して、入札書提出時に工事費内訳書の提出が求められています。
また、入契法改正を受け、大阪市発注工事の工事費内訳書には、次の費目を記載する必要があります。
これにより、従来以上に内訳書の精度と費目管理が重要になっています。特に、労務費や法定福利費、安全衛生経費の計上漏れ・区分誤りは、入札実務上のリスクになり得ます。
大阪市の入札では、積算価格そのものの精度だけでなく、工事費内訳書の作成精度も落札戦略の重要な要素となります。
大阪市では、公共工事の品質確保を目的として、総合評価落札方式を運用しています。総合評価落札方式は、価格だけでなく、技術力、施工能力、工事成績、社会性、品質向上に係る技術提案などを総合的に評価し、価格と技術の両面から最も評価の高い者を落札者とする方式です。
大阪市の総合評価落札方式では、一般競争入札を実施する工事のうち、予定価格が6億円を超える工事については、災害復旧等により特に緊急を要する工事を除き、総合評価落札方式を適用するとされています。
また、予定価格が6億円以下の工事であっても、工事内容に応じて、施工能力、技術提案、環境対策、交通確保、安全対策、リサイクル対策などの評価が必要と判断される場合には、総合評価落札方式の対象となることがあります。
大阪市の総合評価落札方式には、主に次のタイプがあります。
技術的な工夫の余地が小さい工事に適用されます。同種・類似工事の施工実績、工事成績、社会性など、定量化された評価項目と入札価格を総合的に評価します。
技術的な工夫の余地が小さいものの、施工条件への配慮が必要な工事に適用されます。簡易な施工計画、施工実績、工事成績、社会性などが評価対象となります。
技術的な工夫の余地が大きい工事に適用されます。施工上の工夫や技術提案、企業・技術者の能力などを価格とあわせて評価します。
高度な技術提案が求められる工事に適用されます。特殊な施工条件や高度な技術力が必要となる案件では、価格だけでなく提案内容の質が大きく影響します。
総合評価案件では、単純な最低価格競争とは異なり、技術提案・施工計画・実績評価と積算価格のバランスが重要です。
大阪市の土木工事では、「大阪市土木工事標準積算基準書」などが適用されます。大阪市は、令和6年10月版の土木工事標準積算基準書を公表しており、令和7年4月には鋼橋製作工における工数単価の改定に伴う一部変更も行っています。
施工パッケージについては、国土交通省の土木工事標準積算基準書に記載されているものを対象とする旨も示されています。
ただし、実務上は案件ごとに適用される基準が異なる場合があります。設計図書、見積参考資料、特記仕様書に記載されている適用基準を必ず確認する必要があります。
大阪市の土木工事では、市が公表する単価や、物価資料に基づく単価が用いられます。材料単価・施工単価は、建設物価、積算資料、土木施工単価、土木コスト情報などの物価資料や、市場実勢価格を踏まえて設定されるケースがあります。
大阪市のような大都市部では、交通規制、夜間施工、占用条件、搬入出条件、残土・処分先条件などによって、見積単価や施工費が大きく変動しやすい点が特徴です。
そのため、単価表の確認だけでなく、設計書に記載された施工条件、作業時間帯、仮設条件、交通誘導員の配置条件などを読み取ることが重要です。
大阪市の積算では、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の構成を正確に把握することが重要です。
最低制限価格や低入札価格調査基準価格の算定においても、各費目に対して異なる率が設定されるため、費目区分の誤りが価格予測に直結します。
特に、以下のような項目は経費計算上の取り扱いを確認する必要があります。
設計書の備考欄や条件明示に、諸経費対象外、率対象外、積上げ計上などの記載がある場合は、経費算定結果に大きく影響するため注意が必要です。
大阪市では、標準単価だけでなく、現場条件に応じた見積単価が採用される案件があります。
特に都市部の工事では、以下の条件によって見積単価が変動しやすくなります。
同じ工種・同じ材料であっても、現場条件によって金額が大きく異なる場合があります。過去案件の金入り設計書や採用単価の傾向を確認し、条件差を反映した積算を行うことが重要です。
大阪市の工事では、設計図書、特記仕様書、見積参考資料に、積算上重要な条件が記載されている場合があります。
特に確認すべきポイントは以下です。
大阪市は案件数が多く、所管部局や工種によって運用差が出ることがあります。公告資料だけでなく、設計図書一式を確認し、積算条件を読み落とさないことが重要です。
大阪市では、最低制限価格および調査基準価格の算定にランダム係数が用いられます。最低制限価格の基礎額を正確に算出しても、最終的な価格は係数によって変動します。
そのため、応札価格を検討する際には、次の点を意識する必要があります。
大阪市では競争性が高く、最低制限価格付近に応札が集中する案件も想定されます。価格戦略を立てるうえでは、積算精度に加え、制度上の価格変動要素も考慮する必要があります。
大阪市では、入札書提出時に工事費内訳書の提出が必要です。さらに、材料費、労務費、法定福利費、安全衛生経費、建退共掛金などの記載が求められるため、内訳書作成の負担と重要性が高まっています。
内訳書の作成では、単に金額を入力するだけでなく、費目区分の整合性や、設計書との対応関係を確認することが重要です。
特に、労務費や法定福利費、安全衛生経費の計上方法に誤りがあると、入札後の確認や説明対応で問題となる可能性があります。
各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」
上記の他にも、各自治体独自の土木積算の特徴やルール、クセ、運用上の習慣などが多数存在します。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことは容易ではありません。
大阪市では、最低制限価格・低入札価格調査制度・総合評価落札方式・工事費内訳書提出・所管部局ごとの積算条件など、積算実務で確認すべき項目が多岐にわたります。
土木積算システム「アトラス」は全国23拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や最新情報を日々収集・検証し、システムのアップデートやユーザーサポートを行っています。
アトラスを活用することで、大阪市仕様の積算条件を効率的に反映し、現場実態に即した見積作成を高精度に行うことが可能になります。
大阪市の公共工事入札は、電子入札を基本としながら、最低制限価格制度、低入札価格調査制度、総合評価落札方式、工事費内訳書提出などを組み合わせて運用されています。
特に、大阪市では最低制限価格や調査基準価格の算定において、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の費目構成が重要となります。また、ランダム係数が導入されているため、積算精度と制度理解の両方が落札結果に大きく影響します。
さらに、都市部特有の交通規制、夜間施工、施工ヤードの制約、地下埋設物、処分費、仮設条件などが積算差異の要因となりやすく、設計図書や特記仕様書の確認が欠かせません。
土木積算システム「アトラス」を活用すれば、大阪市仕様の積算条件を効率的に反映し、発注者ごとのルール差異や地域特性を踏まえた見積作成を実現できます。積算精度と業務効率を同時に高めるツールとして、ぜひご活用ください。
各地域の積算傾向を徹底分析し、大阪市仕様にも対応。
発注者ごとの積算条件を反映し、最適な見積づくりをサポートします。
30年の実績と土木積算のノウハウが蓄積された土木積算システム「アトラス」。
その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。
昨今の公共⼟⽊⼯事⼊札は、建設⼯事の中でも特に精度が求められています。
土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力のもと、公共工事、土木工事の落札のコツ・ポイントについて解説!