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広島市の土木積算・入札制度の地域傾向、特徴

公共土木工事の入札で勝ち、案件を落札するためには、より精度の高い土木積算が求められています。ここでは、土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所の協力を得て、広島市の土木積算や入札制度における地域的な傾向と特徴についてまとめました。

土木積算システム「アトラス」を展開するコンピュータシステム研究所では、全国21拠点に調査スタッフ&サポートスタッフを配置し、発注者ごとに異なる土木積算の傾向や癖などの情報を収集しています。大量の設計書の検証作業など、日々土木積算の精度を上げるためのローカルな情報を蓄積し、その知見を活かしシステムの精度アップや地域の土木業者のサポートを行っています。
ここではその一部をお見せいたします。
(※以下の情報は株式会社コンピュータシステム研究所の提供資料および広島市公表資料をもとに編集・作成しています。)

広島市公共工事 積算・入札制度の特徴

広島市では、公共工事の発注において、公平性・透明性・競争性の確保と、適正な施工品質の確保を目的に、入札・契約制度を運用しています。

広島市の現行制度では、設計金額(税込)400万円を超える工事を競争入札、400万円以下の工事を随意契約(見積合わせ)の対象とすることを基本とし、工事の性質・規模に応じて、一般競争入札、通常型指名競争入札、総合評価落札方式、最低制限価格制度、低入札価格調査制度などを運用しています。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」(令和8年4月1日現在)

広島市では地元業者への優先発注制度があり、土木一式工事・建築一式工事は設計金額(税込)2億円未満、電気工事・管工事は1億5,000万円未満で、原則として市内本店業者を対象とします。また、土木一式工事、とび・土工・コンクリート工事及び舗装工事は3,000万円未満で、原則として施工区内に本店を置く業者を対象とします。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

設計金額(税込)1億円以上6億円未満の工事では、下請発注時に原則として市内本店業者を活用する地域下請要件があります(建築一式工事は当分の間、義務化を解除)。積算・応札時は、このような地域要件に加え、公告、設計図書、特記仕様書、適用単価年月、質問回答を案件ごとに確認することが重要です。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

入札方式と契約制度の基本

広島市で採用される主な入札方式

一般競争入札

一般競争入札は、設計金額(税込)が400万円を超える工事に採用されます。このうち30億2,000万円未満は、開札後に参加資格を確認する「入札後資格確認型一般競争入札」です。令和7年4月以降、400万円を超える競争入札はすべて電子入札で実施されています。公告ごとに工種、等級、施工実績、配置予定技術者、地域要件等を確認します。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

競争入札の予定価格は設計金額を基に適正に定め、正当な理由なく設計金額の一部を減額してはならないとされています。設計金額(税込)400万円を超える競争入札の予定価格、調査基準価格、最低制限価格は、落札決定後に税抜額で公表されます。随意契約の予定価格は事前・事後とも公表されません。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」「広島市建設工事競争入札取扱要綱」

指名競争入札

通常型指名競争入札は、災害本復旧工事、特別な技術を要し施工可能な業者が極めて限定される工事、市長が特に必要と認める工事等に採用されます。指名業者数は、設計金額(税込)3,000万円未満で9者以上、3,000万円以上5,000万円未満で12者以上、5,000万円以上で15者以上が基準です。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

また、指名業者の選定では、経営事項審査、納税状況、不正・不誠実な行為の有無、経営状況、工事成績、地理的条件、手持ち工事や技術者の状況、安全管理、労働福祉の状況などが考慮されます。
引用元:広島市「広島市建設工事競争入札取扱要綱」

随意契約

随意契約には、複数の業者から見積書を徴する「見積合わせ」と、特定の1者から見積書を徴する「特命随意契約」があります。見積合わせは設計金額(税込)400万円以下の工事を対象とし、特命随意契約は特に必要と認められる場合に行われます。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

見積合わせの選定業者数は、設計金額(税込)100万円以上400万円以下では6者以上、100万円未満では3者以上です。入札・見積りの回数は、100万円以上400万円以下の見積合わせが初度を含め2回、100万円未満が3回まで、特命随意契約が5回までとされています。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

価格制度の特徴

広島市では、ダンピング受注の防止や施工品質の確保を目的として、最低制限価格制度および低入札価格調査制度を運用しています。

最低制限価格制度

最低制限価格は、設計金額2億円未満の工事、災害本復旧工事等で緊急を要する工事、年間を通じて行う単価契約の工事に設定されます。最低制限価格を下回る入札は失格となります。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」「広島市建設工事競争入札取扱要綱」

最低制限価格(税込)は、(直接工事費×0.97+共通仮設費×0.90+現場管理費×0.90+一般管理費×0.68)×偶発値×1.1で算出されます。括弧内の額は予定価格(税抜)の75%から92%の範囲に収めます。基準額は1円未満を切り上げ、最終価格は1円未満を切り捨てます。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」「広島市建設工事競争入札取扱要綱」

現行の広島市の算定式では、一般管理費の係数は68%です。さらに、応札後にシステム上で発生させる偶発値を乗じます。この偶発値は事後にも公表されないため、基準額を算出しても最終的な最低制限価格を完全に特定することはできません。

低入札価格調査制度

低入札価格調査制度は、設計金額(税込)400万円を超える競争入札のうち、最低制限価格制度を適用しない工事が対象です。調査基準価格を下回る入札があった場合は落札決定を保留し、契約内容に適合した履行が可能かを調査します。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

調査基準価格(税込)も、(直接工事費×0.97+共通仮設費×0.90+現場管理費×0.90+一般管理費×0.68)×偶発値×1.1で算出され、括弧内の額は予定価格(税抜)の75%から92%の範囲に収めます。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

調査基準価格を下回った最低価格提示者は、開札日(落札候補者決定の日)の翌日から起算し、広島市の休日を除く5日後の午後5時までに、低入札価格調査報告書等を工事担当課へ紙で持参する必要があります。未提出又は書類に不備がある場合は入札無効です。また、非公表の総額失格基準を満たさない入札は失格となります。
引用元:広島市「(工事)低入札価格調査マニュアル」「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

そのため、広島市の積算では、価格の総額だけでなく、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の費目構成を正確に整理し、低入札調査の対象となった場合に説明可能な根拠を準備しておくことが重要です。

工事費内訳書の提出

工事費内訳書は、一般競争入札、通常型指名競争入札、及び特命随意契約を除く設計金額100万円以上・予定価格400万円以下の見積合わせに参加する場合に、入札書又は見積書と同時に提出します。電子入札では入札書に添付して送付します。
引用元:広島市「工事費内訳書作成要領」(令和8年6月)

工事費内訳書は、Word、Excel、PDFなどで作成し、容量は3MB以下とすることが求められています。
引用元:広島市「工事費内訳書作成要領」

記載事項には、提出年月日、所在地・商号・代表者名、内容に回答できる担当者、工事名・工事場所、工事費の内訳が含まれます。加えて、令和8年4月1日以降の公告案件から、材料費、労務費、法定福利費、建設業退職金共済契約に係る掛金、安全衛生経費の記載が必要です。競争入札では令和8年6月1日以降の公告案件から、これらの記載漏れは入札無効となります(見積合わせは、記載漏れだけを理由に無効とはしません)。
引用元:広島市「工事費内訳書作成要領」

土木関係工事では、工事区分、工種、種別という第3段階のレベルまで内訳を記載する必要があり、内訳書の作成では、単に合計金額を合わせるだけでなく、設計書の項目名、数量、単位、金額との対応関係を確認することが重要です。

積算基準と単価体系

適用基準

広島市では、建設工事の積算基準として、土木工事標準積算基準書、土木工事標準積算基準書の運用、施工パッケージ型積算方式標準単価表、公共工事設計労務単価、統一基本単価表、下水道工事機械器具損料表などを公表しています。
引用元:広島市「積算基準(建設工事)」

令和8年7月21日確認時点で、広島市公式ページに掲載されている土木工事標準積算基準書は「令和7年度(令和7年8月版)」で、河川・道路編は令和8年3月に改定されています。また、令和8年4月1日以降の積算から令和8年度版基準書の改定まで、土木工事市場単価の一部工種は「土木コスト情報2026年1月冬号」「土木施工単価2026年冬号」の価格を用いて算出するとされています。
引用元:広島市「積算基準(建設工事)」

このように、広島市の積算では、基準書の年度だけでなく、訂正情報、適用時期、市場単価の取扱い、施工パッケージ標準単価表、労務単価、統一基本単価表などを組み合わせて確認する必要があります。

単価の特徴

統一基本単価表は月ごとに公表されており、令和8年7月改定分まで掲載されています。公共工事設計労務単価は令和8年3月から適用の資料が掲載されています。積算時は公告・設計図書に示された単価適用年月に対応する資料を参照します。
引用元:広島市「積算基準(建設工事)」(2026年7月3日更新)

建設発生土及び建設廃棄物処分費一覧表は令和8年7月分まで掲載され、下水道工事機械器具損料表、見積により決定した単価・歩掛等も公表されています。処分費や見積単価は、対象工事の設計書に示された条件・適用資料と照合する必要があります。
引用元:広島市「積算基準(建設工事)」

広島市の積算では、地域一般の傾向から単価を推測するのではなく、公告、設計図書、特記仕様書、見積参考資料に記載された施工時間帯、搬入出、交通規制、仮設、処分先等の条件を案件ごとに確認し、適用年月に対応する公表単価・積算基準を用いることが重要です。

経費計算の特徴

最低制限価格及び調査基準価格の基準額は、直接工事費97%、共通仮設費90%、現場管理費90%、一般管理費68%を用いて算出します。旧記載の一般管理費55%ではありません。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」「広島市建設工事競争入札取扱要綱」

基準額は予定価格(税抜)の75%から92%の範囲に収め、これに非公表の偶発値と消費税相当分(×1.1)を反映します。したがって、費目区分を正確に整理して基準額を把握するとともに、偶発値により最終価格は事前に完全特定できない点に注意が必要です。

処分費、スクラップ控除、交通誘導警備員、夜間施工、週休2日工事等の補正、現場環境改善費、仮設費、安全対策費等の扱いは、工事ごとの設計図書・条件明示及び適用積算基準に従います。率対象外・積上げ計上等の区分が不明な場合は、公告で指定された手続により工事担当課へ確認します。

土木積算の精度を上げるポイントについて見る

多くの方が頭を悩ます、予定価格から相違する箇所

見積単価について

広島市では、市公表単価や標準積算基準に基づく単価だけでなく、現場条件に応じた見積単価が採用される案件があります。

広島市は、見積により決定した単価・歩掛や処分費一覧を公表していますが、採用の有無や条件は案件ごとの設計図書で判断します。施工場所や作業条件を理由に一律の地域補正を見込むのではなく、特記仕様書、見積参考資料、質疑回答等に明示された交通規制、施工時間帯、搬入出、仮設、処分条件を積算へ反映します。
引用元:広島市「積算基準(建設工事)」

同じ工種・同じ材料であっても、施工場所や作業条件によって金額が大きく異なる場合があります。過去案件の設計書や採用単価の傾向を確認し、条件差を反映した積算を行うことが重要です。

設計書・特記仕様書の確認

広島市の工事では、設計図書、特記仕様書、見積参考資料に、積算上重要な条件が記載されている場合があります。特に、適用する積算基準、単価適用年月、統一基本単価表の改定月、公共工事設計労務単価、施工時間帯、週休2日補正、夜間施工補正、処分費、建設副産物、現場環境改善費、または経費内訳根拠表に記載のある記号項目が設計書内で明記されている場合もあり独自の補正や経費控除されていることが多くあります、このような点に関しては予定価格との差異に繋がりやすい項目です。

広島市では、土木工事標準積算基準書や統一基本単価表だけでなく、建設発生土及び建設廃棄物処分費一覧表、下水道工事機械器具損料表、見積により決定した単価・歩掛の公表なども確認対象になります。案件ごとにどの資料が適用されているかを読み取り、設計書の条件と照合することが重要です。
引用元:広島市「積算基準(建設工事)」

最低制限価格・調査基準価格の予測

最低制限価格及び調査基準価格の基準額では、直接工事費97%、共通仮設費90%、現場管理費90%、一般管理費68%を用います。さらに、応札後にシステム上で発生する非公表の偶発値と消費税相当分を反映するため、最終価格は事前に完全には特定できません。
引用元:広島市「広島市の入札・契約制度の概要(工事)」

応札価格の検討では、各費目の分類、予定価格(税抜)の75%から92%という範囲、偶発値、消費税相当分、端数処理を確認します。低入札価格調査の対象となった場合に備え、工事費内訳明細書等を整え、休日を除く5日後の午後5時という提出期限に対応できる状態にしておく必要があります。

工事費内訳書の作成

工事費内訳書は、一般競争入札、通常型指名競争入札、及び特命随意契約を除く100万円以上400万円以下の見積合わせで提出が必要です。電子入札では入札書に添付するため、提出漏れ、3MB超過、禁止形式・ファイル名等の不備は実務上のリスクとなります。
引用元:広島市「工事費内訳書作成要領」

土木関係工事では、工事区分、工種、種別の第3段階まで記載します。令和8年6月1日以降に公告する競争入札では、材料費、労務費、法定福利費、建退共掛金、安全衛生経費の記載漏れも入札無効となるため、金額の一致だけでなく必要項目の有無を確認します。

各地域の特徴を日々収集し研鑽しつづける土木積算システム「アトラス」

上記の他にも、各自治体独自の土木積算の特徴やルール、クセ、運用上の習慣などが多数存在します。これらを土木会社の一人の担当者が常にキャッチアップしていくことは容易ではありません。
広島市では、最低制限価格・低入札価格調査制度・総合評価落札方式・工事費内訳書・偶発値・統一基本単価表・建設発生土及び建設廃棄物処分費・見積単価・歩掛公表など、積算実務で確認すべき項目が多岐にわたります。
土木積算システム「アトラス」は全国21拠点のサポート体制を持ち、各地域の発注者の特徴や最新情報を日々収集・検証し、システムのアップデートやユーザーサポートを行っています。アトラスを活用することで、広島市仕様の積算条件を効率的に反映し、現場実態に即した見積作成を高精度に行うことが可能になります。

まとめ

広島市の公共工事は、設計金額(税込)400万円超を競争入札、400万円以下を随意契約(見積合わせ)とすることを基本に、通常型指名競争入札、総合評価落札方式、最低制限価格制度、低入札価格調査制度、工事費内訳書提出等を組み合わせて運用しています。400万円を超える競争入札は電子入札です。

最低制限価格及び調査基準価格の現行算定式は、直接工事費97%、共通仮設費90%、現場管理費90%、一般管理費68%です。

両価格には事後も非公表の偶発値が用いられます。低入札価格調査となった最低価格提示者は、休日を除く5日後の午後5時までに紙の調査報告書等を工事担当課へ持参する必要があります。また、令和8年6月以降は競争入札の工事費内訳書に指定5費目がない場合、入札無効となります。

積算資料は、掲載中の土木工事標準積算基準書の版、令和8年3月適用の労務単価、令和8年7月改定の統一基本単価表・処分費一覧等を、対象工事の適用年月と照合します。地域的な推測ではなく、公告、設計図書、特記仕様書、質疑回答に示された条件を根拠に積算することが重要です。

土木積算システム「アトラス」を活用すれば、広島市仕様の積算条件や細かな端数処理などを効率的に反映し、発注者ごとのルール差異や地域特性を踏まえた見積作成を実現できます。積算精度と業務効率を同時に高めるツールとして、ぜひご活用ください。

各地域の積算傾向を徹底分析し、広島市仕様にも対応。
発注者ごとの積算条件を反映し、最適な見積づくりをサポートします。

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その大きな特徴は全国に配置した拠点による地域に密着したサポート体制とシステムのローカライズ(地域化)。
昨今、地域や担当者ごとの土木積算の特徴や習慣をおさえることが土木積算精度を上げるうえで大切になってきています。
アトラスでは各地の拠点にて地域の情報収集、検証作業を行い、知見を蓄積し、導入ユーザーに土木積算ノウハウを共有しています。

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